◎切り替え~まざし(間差し込み)~筬通し
切り替えの続き~色の異なる糸どうしを結んだタテ糸が着々とできてゆきます。地機は筬*の一目に、タテの上糸・下糸2本一組の羽(ハ)という状態で入れることになります。模様によっては、上下の糸の色が同じだったり違ったりします。違う場合は上糸と下糸を繋ぎ合わせて1羽を作ることになるのです。
とはいっても、文字で説明してもわかりづらいと思いますので、軽く読み飛ばしていただいてかまいません。要は、今日は、ざんざらしているタテ糸を、デザインに従って並べ替えて、筬という道具に通したんだな~、ということです。
*筬=織物の幅とたて糸を整え、杼(ひ)で打ち込まれたよこ糸を押さえて織り目の密度を決める道具。竹製・金属製がある(goo辞書)。
こちらは切り替えが済み、糸の色をデザイン通りに並べ替える「マザシ(漢字では間差し?)」作業が済んだ糸の全体像です。
続いて、筬目ひとつにタテ糸1羽を通します。この作業は「筬通し」といいます。
ヤハズと呼ばれる金属製のへらで糸を筬目に通します。
作業は、筬を筬束(筬をはめる木枠)にはめこみ、筬に角度がつくように設置します。
(カメラ的に)上から目線で撮ってみました。タテ糸を、左の小指~人さし指に1本ずつ取ったところです。これを、小指→人さし指の順に、1本ずつヤハズで筬目に入れてゆきます。
今回使用するのは竹筬。墨書があってイセザキの文字も見られます。竹筬は、作ったり修理する職人さんがいなくなってしまったため、織りの仕事でも、ステンレス筬を使用することがほとんどなのです。以前、オークションで中古の筬を何枚かまとめて購入し、使うことがあればと保管していました。そのうち2枚が使用可能と、詳しい方に見ていただいてわかりました。うち1枚が、結城紬でも良く使う17算(ヨミ=筬目の密度のこと)だったのです。
筬目を飛ばしたり同じ目に2羽入っていないかどうか確認しながら作業を進めます。機織りを習い始めの頃、1反目の下ごしらえを体験したのですが、筬通しでは、もう少しで終わる!という段階で、半分あたりに入れ間違いのあることが発覚。やり直しに時間がかかってしまった苦い経験があります(笑)。
筬目の手前側に塩でも吹いたように見える白い物体は、糸のすべりを良くするためのロウです。ヤハズで糸を通す際には、手前に近いところで差し込むようにしていますので、万が一筬目を飛ばしている場合には、ロウが残っているのでわかる、というメリットもあるそうです。
今日は途中までで時間となりました。引き続き、明日も作業を行います。
新しい伝習生は、昨日はかしあげ、今日は織りながら地機の操作を学んでいます。