◎格(かく)の話
このところ、繭やら真綿について調べている時、生糸には「糸格(いとかく)」という生糸の等級があって、
JAS検査(生糸の日本農林規格)により、6A・5A・4A・3A・2A・Aの6等級に分類されていることを知りました。
また、購読しているメルマガに、こんなことが書かれていました。
<以下引用>
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■日本の養蚕業危うし
着物の素材は綿やら麻やら、変わり物では芭蕉の木などもありますが、やっ
ぱり一番多いのは絹ですよね。最近はかなり値崩れしてしまった感はあるものの
それでもやはり絹は他の素材とは違い、着心地の点で言えば一歩抜きんでて
います。
その養蚕業が今、壊滅的な危機にあえいでいます。
僕もつい最近まで知らなかったんですが、国産の絹製品につけられている
「日本の絹」マークなんですが、これは日本で織った絹と言うことで、純国産
とは違うらしいんです。要はお蚕を中国から仕入れて日本で織っても「日本の
絹」というラベル、またはハンコが押されるんです。
まあ、簡単に言えば稚魚は別の所で生まれて育てられて、何ヶ月か浜名湖で
飼育されたら「浜名湖産」となるようなものでしょうか。あ、これはあくまでも
例として出しただけで僕はウナギのことは詳しくないのでツッコミ無用です。
で、最近「やはりそれはまずかろう」ということで今までの「日本の絹」の
ラベルではなく「日本の絹 純国産」マークというのがでました。
「純国産絹マークは、国産の繭から繰糸した生糸等を用いて国内で製織、染織、
加工及び縫製された純国産絹製品であることを一般の消費者が容易に識別でき
るようにするためのマークです。」
と日本絹業協会のHPには書いています。まあ、これで消費者は安心して購入で
きる、めでたしめでたし…となるかというとそういうわけにはいかないのが
世の常でして。
この純国産マークを取得しようとするとその製造の全てが国産でないとダメ
なんですが、それを全てクリアしようとすると今までの絹の価格が数倍に
なってしまうのではないか、と言われています。先日、ウチの店にその「純国産」
マークのついた長襦袢を持ってきたメーカーがあるんですが、メーカーからの
直接の仕入れでもお客様に数万円でしか提供できないというような価格に
なっています。
その環境を整備するために国からも多少補助金が出るらしいのですが、その
補助金は数年で打ち切られることになっており、国からすれば「その間にきち
んと養蚕業を立て直してね♪」と言うことなんでしょうけれど、僕から見ても、
また、絹のメーカーからしてもそれをクリアするのはほぼ絶望的と言われて
いるようです。
また、これはあるメーカーから聞いただけの話なのでそれが絶対的に正しいかと
言われたら僕も判りませんが、そのメーカーから言わせると、今では国産の
繭の品質が良いと言うのはすでに幻想で、世界一は中国産、その次はブラジル産、
そしてようやく3番目に国産だと言うことです。
国産の繭は残念ながらどんどん弱体化していって、その間に元気な中国産が
どんどん品種改良していって、いつの間にか日本を追い越してしまったそうなん
です。ですからその方曰く「日本製は高いばっかりで使うメリットが全くない」
とのことでした。
このことが正しいかそうではないかは僕には判断がつきませんが、呉服業界は
当然として養蚕業もかなり大きなターニングポイントに着ていることは確かです。
工夫次第で中国産に勝つ事も出来ると思っていますのでアイデアを出して良い
ものを作り上げて欲しいです。
一つの例として、これも又聞きの話なのでソースは不確かですが、日本は養蚕
業は非常に歴史が古く、蚕の純粋な古代種がいまだに飼育されているらしいん
です。その一つがよく使われる小石丸だったりします。また、それらを掛け合わ
せて黄金糸などのちょっと変わった物も作る事が出来ます。
できればこれらの様々なノウハウでこの苦境を乗り切っていただければ、と
思っています。だって、日本の民族衣装が中国の素材ばかり使っていたら寂しい
じゃないですか。
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森田 文啓 (gofukunokikuya@nifty.com)
<引用おわり>
袋真綿にも等級があります。手紬糸にも等級はあるのでしょうか。
先日、結城紬の作り手の方から聞いた話ですが、絣模様の入った着尺を織るためには4種類の糸が必要だというのです。
タテの絣糸>タテの地糸(無地糸)>ヨコの絣糸>ヨコの地糸
">"という記号は、左側の方が太いという意味で使ってみました。織り手としては、機屋さんが用意した機を織るだけなので、100亀甲と160亀甲の機では、糸の細さが違うなあ、とは思いますが、4種類の細さの糸を用意して・・・という部分はタッチしないので意識したことはあまりありませんでした。
また、本場結城紬では、タテ糸の方がヨコ糸より太いので、石毛(ヨコ糸の方が太いそうです)と見比べるときの参考になるようです。なんて聞いて、目で見てわかるかな~?
漫然とタテ糸とヨコ糸で織ると考えていましたが、生産現場では糸の細さ/太さで使い分けているのですね。私の作る紬は、糸の太さを使い分けるなんて夢のまた夢(笑)。
現場の職人さんの経験やノウハウの深遠さを感じました。
ところで、繭の質、真綿の質、手つむぎ糸の質、染めの質、織りの質、仕立ての質・・・1反の布の価値はどんなことに左右されたりするものなのかな・・・などと思いました。
+++
笑