目覚めはカッコウの声で 何とも爽やかな1日のはじまり
◎繋ぐ
写真は、(糸)芭蕉の「木」の根元の部分。タマネギではありません(笑)。「木」とは呼んでいますが、実際は葉っぱの茎の部分が集まっているのです。
今日は、「
うちくい展」のワークショップ「芭蕉・苧麻が繊維になるまで」を見学し、その後、講師の島仲由美子さんに、野州麻(大麻)の繊維の繋ぎ方を教えていただきました。
ちなみに「
うちくい」とは風呂敷のことです。
島仲さんは、竹富町織物事業協同組合理事長で、1975年八重山上布技術保持者。
きょうは竹富町の方法で、芭蕉の木から皮を剥ぎ、ゆうなの灰汁で煮た皮を、クロツブの葉を利き手の親指に巻き、パイと呼ばれる金属片でしごいて不純物を取り除き、繊維を取るワークショップです。
クロツブの葉を巻いた親指
パイと呼ばれる金属製の道具。
沖縄本島喜如嘉では、
竹製のものを使うそうです。
芭蕉の木から
繊維を剥いでいるところです。
繊維の取れる皮を
剥いだ残りの部分も、かつては
乾燥させて絣をしばる糸に
利用されていました。
今はビニールの紐を使っているそうです。
ワークショップでは、生芭蕉、灰汁で
煮た芭蕉、そしてこの著麻の皮を剥いで
繊維をパイで取る作業も行いました。
野州麻でかつて手びきしていた
様子です。
竹富島では、皮を手にもって空中でひきますが
野州麻は、ひき台の上でヒキゴ(金属製)を使って
繊維を取り出していました。
島仲先生の「野州麻の精麻は長い!」という
乾燥を聞いて、この違いは、皮の長さが
関係するのかもしれないと思いました。
棉栽培からの布づくりを学んで、現在は千葉県在住の永井泉さんに、棉綿の糸つむぎを見せてもらいました。初めて見ました!原料の綿は鳥取の「伯州綿」といい、綿打ちされて、紡ぐために小さなかたまりにまとめられていて、触れると溶けそうなほどふんわりとした繊維でびっくりしました(今思えば、なぜ、その綿の写真を撮らなかったのか!と思うけど、その時にはいろいろと興奮しているので、それどころではないのです・笑)。
http://www.nnn.co.jp/news/090520/20090520055.html
真綿から糸を取ると、やはり1枚の真綿が終わって、次の真綿をかけた、取ってる途中の糸をどうやって繋ぐかが気になりますが、棉綿の場合も同じ(笑)。新しい綿のかたまりを、どうやって繋ぐのかを見せてもらいました。なるほど~(そして、そこも写真に撮ってない・笑)。
ワークショップ会場、
ラ・ミュゼ・ケヤキの庭に
テントを張って(お天気が悪かったので)、
芭蕉の葉を敷き詰めて・・・。
ワークショップは、参加者募集と同時に定員につき締め切り・・・だったのですが、先週あたり遅れて参加の問い合わせをしているような私でも、見学をさせていただけることになりました。でも、見学も人数を制限するほど人気があったそうです。
芭蕉の木には繊維があって、それを取り出すという原点を知ることができました。
繊維を取るためには、芭蕉は手入れをしながら3年かけて育てるそうです。木の外側、中側、内側それぞれ繊維の硬さ・柔らかさが違うので、着尺にふさわしい内側の繊維なら、1本の芭蕉の木からはせいせい5gくらいしか取れないそうです。そして、1反の着尺には700gくらいの繊維が必要となるそうです(700÷5=140本の芭蕉に相当!?)。
1本の木からはわずかしか繊維が取れない、だから芭蕉布は高いのね
と、思うと、思考がそこで停止してしまうような気がしました。
手間や値段という部分を剥がして、素材そのものを見て、触れて、感じる・・・まず、そこが見学できたことが私にとっては「ワークショップという木から得た繊維」、最大の収穫です(笑)。先生の島仲さんは、うちくい展で作品を出品している、亀田恭子さん(一時期、同じ職場で働いていたのです)とも親交があることを知り、不思議な縁を感じています。いろいろな作家さんとも交流することができて、私もとっても勉強になりました。こうした機会をくださった、ぬぬぬパナパナ主催の小田さんに感謝しています。
うちくい展(東京)は、3日(水)まで。新宿区内藤町ラ・ミュゼ・ケヤキで開催中です。素材から大切に作られた作品と、出会う、見るという体験ができる場所です(芭蕉のワークショップは5月31日のみです)。
島仲さんは、野州麻(大麻)の精麻に触ったのは初めてだといいます。芭蕉と比べると、繊維が長い!と言っていました。木綿素材、苧麻、芭蕉の繊維を知る人からすると、野州麻の感触には「ぬめり」があるそうです。栃木弁で言ったら「ナメナメしている」でしょうか・・・笑。
島仲先生には、ワークショップでお疲れだったにもかかわらず、2種類の糸のつなぎかた、縄のない方(これは、普通の縄と同じです)を教えていただきました。ありがとうございます。
そうしてわかったこと・・・
糸に繋ぐ以前に、精麻を毛羽立たないように割くこと(やり方ってものがあります)!その作業中、短く取れた繊維もよけておいて繋ぐことができること。繋いだ糸に撚りをかけ、丈夫に、かつ毛羽が出ないようにすること(ともすると、撚りをかけない手つむぎ糸を扱っている私には、馴染みのない部分です)。
島仲さんは、台湾とも技術交流会をやった際、糸(苧麻)に撚りをかけるのに太ももの外側に置いた糸を、手のひらでクルクルっと撚りかけしながら糸を繋ぐ技術を知ったことを話してくれました。
真綿の手つむぎ糸なら馴染みのある私は、綿や麻の糸の繋ぎ方に興味があり、綿や麻の人は、袋真綿を作ったり、糸をとったりする技術に興味がある、といった具合で、異なった技術を知る人達が出会うと、自然と情報交換が始まり、おもしろいなあ、と実感しました。
亀田さんの作品は、見てすぐにわかります(笑)。そこに、彼女がいるようなものでした。布に色に「冴え」を感じました。織り布がたくさん並んでいる仲でも、個性を感じさせるなんて、いったいどういうことだろう???と、初めての半幅を作っている身としては感心するのです。