5つめの絣を織っているところです。
◆呉服のきくや~メルマガ水曜版
昨日、アップし忘れました!今週は、江戸小紋のお話です。江戸小紋は型染めなので、型を彫る職人さんがいるのですが、メルマガで触れられている、型紙彫り職人さんの職人魂に打ちのめされました。
彫る前日は、トイレに行かないように水分を取らず、彫り始めたら一挙に仕事をする。中座すると、線が乱れるからなのですが、同じことが結城紬の機織だって言えるんです。ちょっと休憩、とか、ちょっとトイレ、と中座を繰り返すと、ヨコ糸の打ち込み具合が違ったりするんです。理想は中座せず、集中して一気に織る。ところが、現実の私ときたら、手の届くところにコーヒーなんか置いてちびちび飲んでるんです。取り組み方が全然違います。
(以下、引用)
■縞彫り江戸小紋
突然ですけど江戸小紋のなかで型紙を作るのに一番難しいのは何かご存じ
ですか?それは縞彫りといわれるものなんです。
型をただまっすぐに縞に彫るだけのものですが、一番単純なだけに一番
ごまかしが利かないんです。少しでも太い細いがあるとその部分だけ違和
感が出てしまうのでとにかく全て一定で彫る必要があります。
この縞彫りの名人が1992年に亡くなった人間国宝の故児玉博さんでして、
その集中力たるやものすごいものがあります。彫る前日は途中でトイレに
行かないように水分を取らず、そしていったん彫り始めると彫り終える
まで十数時間から二十時間以上、一心に彫り続けます。なぜかというと
途中で中座してしまうと線が乱れるんですね。その力のいれ具合、線の
間隔など、いったん彫刻刀をおいてしまうとその部分から縞の具合が明ら
かに違ってしまうらしいのです。
ちなみにこの児玉博さんは3センチの幅に30本以上の縞を彫る技術を
持っていたらしいです。ということは1ミリの中に2本、彫刻刀で線を
入れる必要があるんですね。もうホント、とんでもない技術です。
もし間違っていたら申し訳ないんですが、この児玉博さんは人間国宝と
して認定されたときにあるコメントを言って周囲を驚かせたそうなんです。
人間国宝の授賞式の時、たいていの人は「この技術を後世に伝えて云々…」
みたいな優等生的なコメントを言うのですが、この児玉博さんは「このよ
うなとんでもない忍耐を強いるようなつらい仕事は私の代で充分、後世に
伝える気はございません」と言ったそうなんです。確かこの児玉博さんは
一度はこの型彫りに絶望して会社員か何かの仕事をしていたと思うんで
その辛かった経験がそう言わせたんでしょうね。
事実縞彫りは現在では殆ど見られなくなり(と言っても本物の型で染めた
江戸小紋自体少ないんですけど)市場価格も僕が以前京都の室町の問屋で
見たのは100万を超えていたような気がします。もうずーっと前だし、関西
ではあまり江戸小紋は見ないので相場がいまいちよくわかっていないので
間違っているかもしれませんけど…。
縞彫りは型を彫るのも難しければその型を使って染めるのも超一流の染め
の技術が必要で、日本広しといえど縞彫りの小紋を染めることが出来る
超一流の職人はごくわずかと言われています。その理由は…次号に続く。
ここで新趣向。どうして縞の江戸小紋を染めるのは超一流の技術が必要
なのか、考えてみてください。思い思いの答えを書いて下記の掲示板へ
どうぞ。正解は一週間後にこのチョイ話で発表します。ちなみに正解者の
方にプレゼント…なんてものはありません。だってそんな予算ないんだ
もん(汗)。そんなことをする予算があったらちょっとでも安くしまん
がな。
■呉服のきくや楽天店掲示板
http://www.rakuten.co.jp/gofukunokikuya/forum
(中略)
呉服のきくや楽天店
551-0031 大阪府大阪市大正区泉尾3-15-4
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URL: http://www.rakuten.co.jp/gofukunokikuya/
森田 文啓 (gofukunokikuya@nifty.com)
(引用おわり)