30個目の絣を織っているところです。
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繋いで切って?
ちょっと前に見たテレビ番組で、「アメリカ心の故郷」という短編集がありました。プリマス等、アメリカ史ゆかりの地を紹介するものです。その中に、コネチカット州ニューへブンがありました。
ニューへブンといえば、私が持っている2つの振り子時計のメーカー、ニューへブンの故郷。コネチカット州は、ニューへブンのほかにも、アンソニア、ウォーターベリー、ウエルチ、イングラハム・・・名だたる時計メーカーがあり、アメリカ時計産業のメッカでした。ですから、
アメリカン・クロック&ウォッチ博物館があるわけです(笑)。
話をニューへブンに戻しますが、ここには私でも名前を知ってるエール大学があり、更に、アメリカに4か所ある、ハンバーガー発祥の地と言われています。ハンバーガー誕生の場所は、「
ルイス・ランチ」というレストラン。1895年創業、もともとはステーキを出していたそうです。代々の家族経営で、余った肉は家に持ち帰って、だんごにして食べていたそうです。
1900年のある日、一人の客が<時間が無いので何かすぐに持ち帰れるものを>と言ったのを聞いた店のオーナーは、余っていた牛肉のパティをオーブンで焼き、食パンに挟んで出しました。これが、ハンバーガーの始まりというわけです。今でも、店のオーブンは昔のまま。パンもバンズではなく食パンです。炙った牛肉のパティといっしょに挟んであるのは、パティといっしょに焼いたオニオン、スライスしたトマトだけ。味には自身があるので、ケチャップは置いていないのだそうです。その映像を見て、アメリカの牛肉はちょっと・・・と思いつつも、ここのハンバーガーを一度食べてみたいものだ・・・と思ってしまいました。
Connecticut(コネチカット)・・・connect(繋いで)、cut(切って)・・・機織している私には、とっても身近な、しかし相反するふたつの言葉でできた不思議な名前。由来はなんだろう?と思ったら、英語の発想とは違うんですね。モヒカン族の言葉で"Quinnehtukqut" (beside the long tidal river)に由来、<(河口から潮が上げてくる)長い感潮河川のそば>という意味だそうです(笑)。余談ですが、ジャマイカも先住民族タイノー・インディアンが島を呼んでいた"Xaymaca"(land of wood and water)という言葉が由来です。
ハンバーガーがアメリカ国内で同時発生的に誕生したのは、産業の発展という社会的背景があったから。このあたりの話は、ネットサーフィンでたまたま見かけた、新井正一郎さんの書いた「文学の中のアメリカ生活誌(17)~時計(CLock)」の項で、とてもわかりやすく紹介されています。http://www.tenri-u.ac.jp/tngai/americas/files/newsltrs/25/25scenery.arai.html
私にとってのアメリカは、長い間ジャマイカへの経由地として、せいぜいトランジットで1泊する程度、何かを実感する機会がありませんでした。でも、振り子時計との出会いのおかげで、私のアメリカ観がちょっと変わりそうです。