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糸つむぎ講習会
大島紬をはじめとした日本の紬の中で、タテ糸・ヨコ糸ともに手でつむいだ糸で織られているのは、今では本場結城紬だけになってしまいました(結城紬と称されていても、機械で紡いだ手紬風の糸が使われているものもあります。機械でつむいだ糸の方が、糸代は安く押さえられるのです)。ですから、手つむぎ糸を取る技術は、本場結城紬を支える要のひとつと言えます。
結城紬の生産シェアを茨城県と2分する栃木県は、産地として「手つむぎ糸取り」の技術継承、後継者育成を行っています。今日、私が参加した講習会がその活動の一環なのです。
会場(石橋公民館・2F和室)に到着し、受付を済ませたら、道具(つくし、おぼけ)を借ります。
伝統工芸士・塚原アイさんが、マンツーマンで真綿かけ(袋真綿を<つくし>という道具にかける作業)から、糸を取り出し方を実演してくれ、すぐに実習がはじまります。
引き出している糸が切れたとき、真綿が残り少なくなった時など、その時々に応じて指導してもらえ、私が機織を習った指導所の永田先生も指導員として参加されていて、糸のよりおろし方や、ネップ(節=糸がこごって節や粒のようになっている部分)の取り方などのアドバイスをいただきました。
先輩参加者が交わす糸つむぎにまつわるおしゃべりも参考に聞きながら、1枚の真綿をつむぎ終わるのに3時間かかりました(笑・講習会は午前10時~午後1時)。これまで、機織伝修生時代に休憩時間に糸つむぎを体験したり、展示会の実演コーナーで体験したことはありましたが、こんなに長時間糸つむぎをしたのは初めてでした。参加者は10名くらいでしたか。
行ってみて、初めてわかったことがありました。
1. 1回の講習会でどうにかなる、というものではないこと(笑)。参加者の皆さんは、
月2回の講習会に連続参加し(必要なら自宅でも練習し)、技術向上を目指しています。
なぜなら・・・
2. 糸つむぎの技術が合格水準に達した人は、原則として原料商(本場結城紬の手紬糸を
扱う糸屋さん)につむいだ糸を買い取ってもらえる
(但し、原料の真綿は実費購入)。
だから・・・
3. 早く上達したい人は、県から道具を無償貸与してもらえるので、家で練習ができる。
但し、貸与された道具は講習会に持参すること。
永田先生は「どうせなら、合格するまでがんばったら(笑)」と言って、明日から次の機を織り始めるので、次回はいつ講習会に参加できるかわからない私に、家でも練習できるようにと、袋真綿を数枚分けてくれました(感謝)。そうですね、どうせ練習するなら、糸商さんに買い取ってもらえるくらい上手になりたいものです。
栃木県在住の方で、本場結城紬に興味のある人、かかわりたい人におすすめしたい講習会です。栃木県ならではの伝統工芸に触れる良い機会だと思います。
本場結城紬の織り子として、ヨコ糸巻きをしているときに糸切れしたときのつなぎ方と、糸とりしているときに糸切れした時のつなぎ方が違うということが、新鮮な発見でした。私が日常触れているタテ糸やヨコ糸は、こうした作業を経て生まれていることを知ることもでき、とても勉強になりました。
<糸つむぎ講習会に関する問い合わせ>
参加費無料、予約不要、ほんとうに手ぶらで行って参加できます。門戸を広く開放しているんだなあ、と思いました。もっと早く行けばよかったかも(笑)。
(写真は結城紬後継者育成研修テキスト~糸つむぎマニュアル~)
栃木県織物技術支援センター
〒323-0155 栃木県小山市福良2358
TEL.0285-49-0009
ひさしぶりにジャークシーズニングを作りました。前回のレシピ、なぜか配合を良く覚えてなくて、今回はできあがった量が倍になってる(?)。毎回、味が違ってますが、何度か作るうちに落ち着いてくるでしょう(笑)。
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1反の着物をつくるには
今日、糸取りした袋真綿は1枚約2g。1反の着物地に必要なのは7秤(約658g=袋真綿329枚分)。ここから糸を取ると、節を取ったりするロスなどを引いて7ボッチ約560g。今日のような速度(遅さ?)で糸取りすると、7ボッチの糸を取るのに987時間かかります。1日8時間かけたとして123日、4ヶ月くらい必要です。