父の日 ありがとう
今夜の情熱大陸(TBS 11:00pm~)は、ナガオカケンメイさんの回、ちょっと気になる。ロングライフデザインなものを各地で掘り起こす作業を見ていて、柳宗悦の民藝運動を連想しました(同じということではありません)。
◎木工教室(作業台)
まずは、鉋(かんな)の刃を研ぎました。#1000の砥石で研いだところで、先生に一旦見てもらい、残りの使えるようになるまでをササッと研いでもらいました。それから、作業台の天板にヨコズリ(木目に垂直の方向に鉋をかけること)をかけ、平面を出すところまでをやりました。平面かどうかの見方も、もういちど教えてもらいました。
◎麻の糸を引く
栃木県立博物館は木工教室からの帰り道にあり、家の近所でもあります。今日まで開催の企画展「野州麻(やしゅうあさ)」の一環で、麻ひき体験を無料で開催しているので寄ってみました。
県立博物館のサイトより・「野州麻」
http://www.muse.pref.tochigi.jp/080426yasyu-asa/index.shtml
「麻ひき体験」
http://www.muse.pref.tochigi.lg.jp/news/2008/06/post_4.html
http://www10.plala.or.jp/farming/backnumber/diary01/diary0108.htm
・・・えっ!?麻ひき体験だけが無料かと思っていたら、博物館も今日は無料とか!というわけで、今からちょっと行って展示も見てきます(さきほどは、麻ひき体験だけやって帰ってきてしまったもので・笑)。
と、いうわけで今度は下駄をひっかけ歩いて博物館へ。鼻緒の柄が麻の葉だったのは、単なる偶然。野州麻で作られる製品として、下駄の鼻緒やツボの芯縄が展示されていたので、思わず、自分が履いていた下駄を手にとり底を確認すると、産地は定かではありませんが、鼻緒の芯縄は麻でした。
その他の製品としては、麻縄、蚊帳、魚網、奈良晒(これは知りませんでした)・・・。
綿、野州麻、サイザル麻、ナイロンでできたロープを触って比較できるコーナーがありました。ロープの端、房になった部分を触ってみると、サイザル麻はバリバリですが、野州麻は下手する綿か絹かと思われるような、柔らかい触りこごちでした。
麻の栽培から、収穫、精麻の加工まで順を追っての展示(今年、県立博物館の作業が認められ、野州麻の道具が重要有形文化財に指定されたことを記念して企画展が開催されたのです)。福島など他産地との道具・加工法の比較も交え、身近な麻の文化を知ることができました。
麻ひきの時にも、かなりしつこく着るものを織っていたのか聞いたのですが、返事ははかばかしくなく、博物館の展示でも野州麻を使った衣類の生産については、記録が見つからなかったとありました。産地なら衣類としての麻織物があっても不思議はないのですが。
とりあえず、麻ひき体験の様子を・・・
収穫後、お湯につけ、天日干し後、水につけて数日発酵させた麻から、表皮を剥ぎ取った粗麻(あらそ)。この段階では水分を含んで湿っています。
木製の麻ひき台に、粗麻を載せ、「ひきご」と呼ばれる鉄を湾曲させてできたヘラで、表皮をこそげます。
しょっぱなから、ひきごの向きが逆さ!とチェックが入りました(笑)。
矢印の方向に動かす「ひきご」は、ヨコから見たらこんな風になります。
←←←(
こそげると、繊維が残り、表皮など他の部分が取れます。繊維以外の部分、表皮は懐炉の灰や花火の材料に(栃木県で懐炉の灰を作る人は、たった1人しかいないそうです)、残りの部分は紙の原料に使われていました。窒素分を含むので、肥料としても役に立つようです。
うまくこそげると、繊維は平らに広がり、不純物が取れて白っぽい色になります。私はといえば、ヨレヨレのかんぴょうみたいで、繊維がきれいに広がらない部分がありました。
体験参加者。昔取った杵柄(キネヅカ)と言いながら。やっぱり手際が様になっております。
しかし、手前から向こう側に向かってヒキゴを動かす(押し出す)ものの、麻<ひき>、<ヒキゴ>ってところが、ちょっと不思議(笑)。
挽く(「引く」と同源)には、刃物などで物を切ったり削ったりすることを指すので、この意味なのかな?
同じところを2度も3度も下手な力を入れてこそげると、繊維を傷つけてしまいます。博物館が作った15分の野州麻の記録映画の中では、ベテランのお母さんが手早くひきごを動かしていて、同じところを何度もひくことはありませんでした。
取れた繊維は、本来はゆっくり乾燥させますが、今日は30分から1時間つるして乾燥させたものを持ち帰ります。
麻ひき体験は、博物館の玄関前ポーチで開催されていましたが、子供からご年配、幅広い年代の参加者で盛況でした。
さてさて、今日体験してできたものは、手びきの精麻(せいま)。展示品には麻ひきの機械も展示されていましたが、麻の表皮を1本1本機械に通すのは、やっぱり人が手作業で行います。実際の作業風景を見たことはありませんが、たぶん機械ひきでも人がつきっきりでしょうから、石下結城で動力織機とはいえ人がつきっきりで面倒見るのと同じようなものでしょう。
機織りする身として気になるのは、精麻からどのようにして麻糸にするのか(麻績み=おうみ)というところ。長野県美麻村のサイトを見かけましたので、参考にアドレスを載せておきます。
参考:長野県美麻村の麻ひき・麻績み体験
http://www.hemp-revo.net/report/0512.htm
麻の糸を入れる容器を麻桶(オボケ)と呼びます。博物館でも、麻糸がてんこもりに入った麻桶(オボケ)が展示されていました。結城紬でも、真綿から手つむいだ糸をためる容器をオボケと呼びますが、この麻桶を転用して手つむぎ糸を入れるようになったと、どこかで読んだことがあります。
真綿(絹)からつむぐ糸は、思いのほかずるずると長く引き出すことができますが、麻糸1本の長さには限りがありますから、1本1本を繋いで1本の糸にしてゆく作業は、気が遠くなりそうです。麻だけでなく、芭蕉の繊維も同じですよね。麻績み、一度もやってみたいです。
参考:野州麻
http://blog.goo.ne.jp/community_2007/e/05500d20b7a9bde827971e7ded2a7107
http://www.hemp-revo.net/yasyuasa/yasyuasa.htm