26個目の絣を織り終わったところです。
◆
木綿のこと
ただいま、ひとり春の読書週間(笑)。永原慶二・著「新・木綿以前のこと~苧麻から木綿へ」を読んでいるところです。先日の綿結城に引き続き、どうも気になります、木綿のこと。
木綿の読み方には、次のようなものがあります。
1)キワタ(真綿~繭から作られるマワタに対してキワタと読みます)
2)モメン
3)ユウ(コウゾの皮をはぎ、その繊維を蒸して水にさらし、細かにさいて作った糸。
榊(サカキ)に掛けて垂らし、神事の時に幣(ヌサ)として用いる。
この本の中に、結城紬で知られる茨城県結城のユウキの名は、木綿(ゆふ)からおこったと伝えられている、とありました。さらに、著者が見た結城紬の真綿の作り方は、<繭を煮てやわらかくしたうえ、それを切り開き、蛹を捨て四方に引き伸ばして、四角形の紙のようにひろげてゆく>とあり、袋真綿ではなく角真綿にしていたことがわかります。袋真綿の歴史はだいたい370年だそうですが、角真綿の方が歴史が長いのでしょうか???
ちなみに、古代・中世を通じて「綿(わた)」といえば、「真綿(まわた)」のことだったそうです。昭和生まれの私にとって、「綿(わた)」といえばコットンですが。
真綿作り、現在は分業化が進み、(袋)真綿作りは福島県保原町とその周辺で行われています。
・関根商店(福島県保原町) 入金真綿ができるまで
http://www3.ocn.ne.jp/~mawataya/mawata.html
◆
ラベルのもんだい
毎週恒例、呉服のきくやさんメルマガ。今週は大島紬のラベルについて。結城紬にもラベルがあります。いろいろ見ること、それもまた勉強かと思います。
(以下引用)
_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/_/
■大島紬のラベル
大島紬はもちろんご存じですね。あの独特のつるつるした肌触りでファンの
方も多い織物です。大島紬にはご存じのように一枚一枚に大島紬の協同組合の
ラベルが添付されておりまして、奄美大島の地球印やら鹿児島産の旗印やら
果ては宮崎産の鶴印なんてのもあります。
インターネットや着物の本などには「必ず大島紬のラベルを確認して購入しま
しょう」なんてことが書いてありますけど、さてさて、今日はこの大島紬の
ラベルのお話です。
大島紬を実際に買うとき、インターネットなどで前もって調べてから多少は
商品の知識をつけてから購入されると思いますが、ラベルを信じすぎてはだめ
ですよ。いや、ラベルが信用できないという事ではないんです。ラベル自体は
大島紬の協同組合で厳密に管理されていて、織りだしの部分にも協同組合から
しか購入できない糸をつかってその位置にラベルとともにパンチ穴を開けて
張り替えたりできないようになっています。
また、たとえ販売店側で何かのアクシデントで大島紬のラベルをはがしてし
まったり汚損してしまったりした場合でも、何があってもこのラベルは再発行
してくれません。ですから、販売店でお客様に販売してお仕立てにかかる前、
紬の湯通しをするときにはラベルが付いたままだと破損してしまいますので
必ず販売店側でラベル部分を切り取ってから湯通しに出します(なんだか聞く
ところによると最近はラベルが付いたままでも大丈夫になったと聞きましたが
詳しいことはわかりません)。
「じゃあ、何で信用しすぎるな、なんて言うんだよ!」という声が聞こえて
きそうですけど、やっぱり信用しすぎると駄目なんですな。なぜかというと、
大島紬のこのラベルは確かに協同組合からの「これは大島紬ですよ」という
お墨付きですが、それがいい物であろうが粗悪品であろうが、大島紬であれ
ばラベルは添付されます。
たとえば12マルキの緯経絣という最高級大島紬にもラベルは添付されますが、
今ではほとんど見向きもされないような、横糸だけに絣糸を用いて縦糸には
絣の入っていない、織物としてはあまり値打ちのない横双(よこそう)と言
われる大島紬にもラベルは添付されます。
奄美大島産は基本的に全て手織りなのでラベルに手織りと機械織りの区別は
ないのですが、鹿児島産は機械織りはオレンジ色のラベル、手織りは薄い
ブルーのラベルでして、手織りであれば上で挙げた例の横双の大島であっても
手織りの薄いブルーのラベルが付くんです。
もう一つ書きますと、機械でガシガシ織ったような白生地に後から型で染めた
ような後染めの大島にもラベルは添付されます。機械で織ったといっても
半自動化された程度の機械らしいのですが、機械織りのラベルが付きます。
機械織りの大島のラベルなんて正直なところ、「大島紬としての値打ち」は
ゼロに近い代物です(もちろん着物の生地としての値打ちはありますよ)。
最近では上記の機械でガシガシ織ったような白生地に、まるできちんと縦横の
絣で先染めで染めたかに見えるような、ぱっと見た目には普通の絣で柄を織り
だしているかのようなものもあります。
もちろんそういう商品は気軽に手が出る値段でぱっと見た目にはいい物に見え
るという満足感が得られるので、きちんと商品の性質をわかった上で購入され
るのであればいいんですけど、ラベルをあまりに信用しすぎてしまって「ラベ
ルがあるからいい物だ」なんて思ってしまい、心ない業者やネットオークショ
ンで高値で購入するのは避けたいものです。普通の消費者がちょっと見た目に
は「絶対に」見分けがつかないですから。
そこまで行ってしまうと詐欺に近いのでそういう業者はほとんど無いとは
思いますが、織物って本当に見極めが難しいので、できることならばきちんと
した知識を持っている信頼できる業者から購入することをお勧めします。
今週のチョイ話の御意見、御希望、御感想は下記掲示板へ。
■呉服のきくや楽天店掲示板
http://www.rakuten.co.jp/gofukunokikuya/forum
なお、今回のチョイ話の作成には株式会社若狭の若狭敏克さんに協力頂きま
した。若狭さんの運営する楽天店舗、大島紬専門店「和一」もご覧ください。
■本場大島紬専門店「和一」
http://www.rakuten.co.jp/waitsu/
(一部中略)
呉服のきくや楽天店
551-0031 大阪府大阪市大正区泉尾3-15-4
TEL.06-6551-8022/070-5507-7842(担当者直通)
URL: http://www.rakuten.co.jp/gofukunokikuya/
森田 文啓 (gofukunokikuya@nifty.com)
(引用おわり)