◎オンリーワン
<烏山和紙会館>
行ってみたいところリストに入っていた烏山(からすやま)和紙会館に行ってきました。実際に和紙を作っている工場(こうば)は、そこから17kmほどはなれた場所にある福田製紙所(和紙の里)です。
那須烏山(なす・からすやま)市観光ガイド(ページをスクロールダウン、中ほどです)
http://www.city.nasukarasuyama.lg.jp/kanko/midokoro/midokoro1.htm
<和紙の里・福田製紙所へ>
和紙会館を出たのは午後3時過ぎ。工場は3時~3時半が休憩時間と聞いていたので、途中コンビニでもあれば、飲み物でも買って休憩しようと思っていました。烏山大橋を渡り、目印の交番を見逃して、右折しそびれてしまったため、烏山の里山ドライブを満喫。進めば進むほど民家も少なくなって、コンビニどころではなくなり何だか変だな、と引き返して無事工場に到着したのは、休憩時間も終わる3時29分でした。
あ、桑が植えてある。建物の裏手に桑が植えられていました(実は、これは楮~コウゾ~。和紙の原料になります)。葉っぱや枝ぶりが桑と似ていますが、それもそのはず。楮(コウゾ)は桑科の植物なのだそうです。
<工場見学>
作業場に人の気配があったので、入り口から「こんにちは~」と遠慮がちに覗くと、スタッフが「どうぞ」と気軽に声をかけて、工場内を案内してくれました。紙作りの工程によって、工場に入るスタッフの数や作業内容が違うらしく、今日は紙漉きはやっていませんでした。
私が見せてもらったのは、煮沸した楮の繊維に水を掛けてキレイにしているところ、漂白した和紙の原料を揉み染めているところ、原料の那須楮(なすこうぞ~茨城県大子町産)の皮。その皮を煮て柔らかくしたもの、更に機械で叩いて綿のような繊維状にほぐしたもの。
クレゾール液に保存したトロロアオイの根・・・オクラ科のトロロアオイは、根っこをさわると、茹でたなめこのネバネバのような粘りが出ていました。この根をつぶして水につけ、とろみがついたものをネリと呼びます。ネリは糊とは違いますが、楮の繊維を混ぜた水槽に加えることで、繊維が水の中に均一に混ざり、紙漉きの作業がし易くなります。
紙漉きをする水槽。作業は見られませんでしたが、作新学院の透かし入り卒業証書の準備ができていました。県内の学校では卒業証書に烏山和紙を使うところが少なくありません。紙漉き最盛期はテレビのニュースにもなります。一般には、卒業証書は秋から漉くのですが、作新学院は生徒数が多いため、他校に先駆けて作業を始めるのだそうです。
展示されている和紙製品を見て、最後は製作工程もわかる約10分のビデオで見学をしめくくりました。突然の訪問にもかかわらず、説明も簡潔で感じの良い応対に好感が持てました。
乾燥用の板には、たくさんのフートー(張り合わせる前の形で)が張り付いていました。
水と楮とトロロアオイ、それだけで和紙ができます。染めが必用な場合は、先染め、後染めいずれも、繊維を漂白してから染めます。無地、ムラ染めのほかに、紙を畳み折って板締め染めしたものも和紙会館で見かけました。
<流し漉き>~日本独自に発展した紙漉きの技法
結城紬といえば機織りのイメージを思い浮かべるように、和紙作りというと紙漉きの作業を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか。ビデオで、漉き簀(すきす)を敷いた漉き桁(すけた)を、和紙の繊維を混ぜた水(船水ふなみず)の中でジャブジャブと振るう場面で、ただジャブジャブ振るのでなく、以下のように3つの作業で構成します。
・化粧水~漉き簀全体に薄い層を作る(表?)
・中間層を漉く~紙の厚みを作る
・捨て水~漉き簀を傾け、最後に残った紙料を流し出す(裏?)
見学の際、質問し忘れたのですが、良く、紙に裏表があるといいますが、この作業が表裏を作るのではないでしょうか。
北京オリンピックの開会式では、中国が発明した紙もモチーフに使われていました。紙漉きの技法は中国から伝わりましたが、いま紹介した漉き方は<流し漉き>と呼ばれ、日本独自に発展した技法です。
今日の見学は、なかなかに良いヒントをもらいました。
かつては盛んだった手漉き和紙も、機械生産の安価な商品に押され、現在烏山和紙を製造しているのは、ここ福田製糸1ヵ所になりました。そんなわけで、今日のdiaryのタイトルとなったのです。
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烏山和紙の歴史、製作工程(ストリームビデオあり)については、こちら↓のサイトが詳しいので、ぜひご覧下さい。
http://www.tochigi-edu.ed.jp/dentou/karasu/intro/index.shtml
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栃木県で紙漉き体験ができるところ
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紙漉き体験(和紙) 佐野市
問い合わせ:飛駒和紙会館 TEL.0283-66-2481
〒327-0231 佐野市飛駒町2136
内容:紙漉き体験を行い和紙を作製。制作した和紙は乾燥後郵送される。
所要時間:1時間程度。
実施日時:年末年始を除き通年
対象者:40名程度、要予約
料金:はがき漉き600円~、漉き流し(平紙)200円 * 別途送料
駐車場:あり(大型可)
*宿泊施設(根古屋森林公園)併設
■紙漉き体験 那須烏山市問い合わせ:烏山和紙会館 TEL.0287-82-2100
〒321-0615 那須烏山市小原沢 和紙の里(福田製糸所)
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注・福田製糸所は体験申込み窓口ではありません)
内容:伝統工芸品でもある烏山和紙の紙漉き体験。指導者のもと、はがき2枚作成。
出来上がった作品は後日個人に郵送
所要時間:1時間程度
実施日時:3月~10月(火曜日を除く)
対象者:年齢制限なし(20名)
料金:525円(材料費含む)
駐車場:あり(大型可)
■紙漉き体験 鹿沼市(かぬまし)
問い合わせ:野州麻紙工房 TEL.0289-84-8511
〒328-0212 鹿沼市下永野600-1
内容:
野州麻紙漉き体験
所要時間:5~10分程度
実施日時:通年
対象者:60名程度、1週間前までに要予約
料金:A3・1枚またはハガキ3枚を漉いて1,000円
駐車場:あり
*そうり編み体験もあります(半日・20名程度・1週間前までに要予約・料金1足4,500円)
*併設のカフェギャラリーでお茶・食事もできます。